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車の傷・へこみが買取査定にどれだけ影響する?知っておきたい減額基準と高値で売るコツ

車を買い取ってもらう際、その価値を最大限に引き出すためには、車の状態が大きく影響します。特に、車の傷やへこみは買取価格に影響を与えます。

しかし、具体的にどれほどの影響があるのか、また、どのような基準で減額されるのかを理解している方は少ないかもしれません。

そこでこの記事では、車の買取査定の基準と傷が査定どれだけ影響を及ぼすのか、そして、それらがどのように評価されるのかについて詳しく解説します。さらに、傷やへこみがある車を高値で売るためのコツも紹介します。

傷、へこみがある車の売却を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

車の査定基準とは何か?

車の査定基準については、以下のような項目がチェックされます。

  • 外装の状態
  • 内装の状態
  • エンジンや足回りの状態
  • 年式や走行距離
  • 車検の残月数
  • タイヤのすり減り具合
  • 修復歴や事故歴の有無
  • 改造歴の有無

これらの項目は、財団法人日本自動車査定協会によって設定されています。また、車の査定は細かいところまで統一した基準のもと行われます。外装・内装・車の機能・年式・走行距離・事故歴・改造歴などが、主なチェック項目です。

車買取店やディーラーによって独自の査定基準があることもありますが、基本的には上記のような項目がチェックされます。

車の傷が買取査定に与える影響とは?

車の傷が買取査定に与える影響については、傷の大きさや数によって異なります。一般的には、傷がある車の買取は傷がない車の買取と比較すると減額されます。傷の大きさによっては、修理費用がかかるため、減額幅が大きくなることもあります。

また、傷の数が多い場合にも減額されることがあります。ただし、傷が1cm未満の場合には査定額に影響がないことがあるため、傷の大きさや数によって査定額がどの程度減額されるのかを知っておくことが大切です。

車の傷や凹みの減額基準はどこで決められているの?

車の傷や凹みの減額基準は、前述した財団法人日本自動車査定協会が定めた「中古自動車査定基準及び細則」で決められています。この基準では、傷や凹みの大きさや数によって減額額が変わってきます。

買取店やディーラーによって独自の査定基準があることもありますが、多くの買取業者は上記の基準を参考に、査定を進めていきます。

傷の大きさや深さによっていくら減額になるのか

傷の種類によっても査定への影響は変わります。以下に、主な傷の種類とそれぞれの査定への影響について詳しく説明します。

爪が引っかからない程度の傷の場合

1cm未満の傷の場合は、査定額に影響がないことがあります。しかし、1cm以上の傷になると大きさによって減額の度合いも大きくなります。1cm以上9cm程度の場合は、10点減点となり約10,000円の減額となることがあります。

傷が1cm未満であれば査定額にほとんど影響がないものの、1cm以上になると傷が大きくなるほど減額が大きくなることがあるため、傷の大きさによって減額額がどの程度になるのかを知っておくことが大切です。

再塗装で済む程度の傷の場合

再塗装が必要な傷は、専門的な技術と時間、そして材料費を必要とします。そのため、この種類の傷がある車は、それらの修復費用を考慮した上で査定価格が決定されます。具体的には、傷を修復するために必要な塗料の種類と量、作業にかかる時間、そして専門的な技術を持つ職人の手間賃などが考慮されます。これらの要素は、修復費用を大きく左右し、結果的に車の査定価格に影響を与えます。

板金と再塗装が必要なへこみがある傷の場合

板金と再塗装が必要なへこみがある傷の場合、査定額に大きく影響します。専門の知識や技術がなければ修復できないため、修理費用が高額になることがあります。板金と再塗装が必要な深い傷の場合は、一箇所に付き最大80,000円程度の減額となる可能性があります。

また、ヘコミの場合は塗装だけでは修理が終わらず、板金や修理、最悪の場合は部品交換となることもあるため、傷のみの場合と比べて大きく減額される可能性があるので注意が必要です。

ただし、修理費用によって減額額が異なるため、査定前に修理が必要かどうかを確認することが大切です。

車の傷が修復歴扱いの場合の買取は減額対象になる

車の傷が大きい場合、修復歴として扱われ、査定価格はさらに減額されます。

修復歴とは?

修復歴とは、交通事故その他の災害などにより、自動車の車体の骨格部位を損傷し、「修正」あるいは「交換」により修復した経歴がある車のことを指します。修復歴がある車は、その後の故障のリスクが高まるため、査定価格は大幅に下がります。

修復歴ありの車の減額目安

修復歴がある車の減額目安は、修復の規模や質、修復箇所によりますが、査定額は修復歴がない同じ車種に比べて、軽自動車であれば20万円程度、普通自動車であれば30~50万円程度の減額になることがあります。

修復箇所が車の重要な部分であったり、修復の質が低いと、さらに減額額は大きくなります。ただし、修復歴のある車でも、修復箇所が小さく、修復後に問題がない場合は、減額幅が小さくなることもあります。

パーツ別の傷の減額基準

傷の位置によっても減額の基準は変わります。以下に、主なパーツ別の傷の減額基準について説明します。

バンパーの傷に対する減額基準

バンパーは車の最前線に位置するため、傷がつきやすい部分です。しかし、バンパーの交換は比較的容易な作業であるため、その影響は査定価格に大きく反映されません。バンパーの傷は、修復コストが低いため、他の部分に比べて減額額はそれほど大きくないのです。

しかし、バンパーの傷が非常に大きい場合や、バンパー自体が大きく変形している場合は、新しいバンパーへの交換費用が査定価格から引かれます。

ドアの傷に対する減額基準

ドアの傷は、その位置と視認性から査定価格に影響を与えます。ドアは車の使用頻度が高く、傷が目立つため、修復が必要な場合、査定価格は相応に下がります。特に、ドアの傷が深く、再塗装や板金作業が必要な場合、その修復費用は査定価格から引かれます。

ボンネットの傷に対する減額基準

ボンネットの傷は、その大きさと深さによって減額額が決まります。大きな傷や凹みがある場合、ボンネット全体の交換が必要となり、その分、査定価格は大きく下がります。また、ボンネットは車のエンジンなど重要な部分を保護する役割もあるため、その状態は査定価格に大きく影響します。

フェンダーの傷に対する減額基準

フェンダーに深い傷がある場合や再塗装や板金作業が必要な場合、その修復費用は査定価格から引かれます。この修復費用の計算には、以下の要素が考慮されます。

  1. 傷の大きさと深さ:傷が大きく深いほど、修復にはより多くの時間と材料が必要となります。その結果、修復費用は高くなります。
  2. 必要な作業:傷が浅く、研磨と再塗装で修復可能な場合と、傷が深く板金作業が必要な場合では、必要な作業が大きく異なります。板金作業は専門的な技術を必要とし、その分、修復費用は高くなります。
  3. 修復に必要な材料:再塗装には塗料が、板金作業には新しい金属板や溶接材料が必要となります。これらの材料費も修復費用に含まれます。

これらの要素を考慮して、修復費用が計算され、その額が査定価格から引かれます。

ルーフの傷に対する減額基準

ルーフの傷は、一般的には目立ちにくいため、減額額はそれほど大きくありません。しかし、大きな傷や凹みがある場合、修復には大きなコストがかかるため、その分、査定価格は下がります。ルーフの傷の修復には、再塗装だけでなく、場合によってはルーフパネル全体の交換が必要となるため、修復費用は高額になります。そのため、ルーフの傷が深い場合や大きな凹みがある場合は、その修復費用が査定価格から引かれ、大幅な減額となる可能性があります。

傷のある車を高く売るためのポイント

傷のある車を高く売るためには、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

自力で傷を修復しない

  • 自分で傷を修復する場合、修復が不十分であったり、修復に失敗した場合、査定でマイナスに響き、修復せず出した場合よりも買取価格が下がる可能性がある。
  • 自分で傷を修復する場合、修復にかかる費用や時間が査定額に反映されない可能性がある。

自力で傷を修復しようとすると、専門的な技術がないために逆に状態を悪化させる可能性があります。また、修復にかかる費用や時間が査定額に反映されるとは限りません。

そのため、専門の修復業者に任せることをおすすめします。

洗車と清掃でキレイにする

車を洗車してキレイにすることは、車の査定額に直接的な影響はないとされています。しかし、車内のニオイやヤニ汚れなどは査定に必ず影響するため、車内の掃除に力を入れることが重要です。また、車をキレイにすることで、査定士への印象が変わるため、間接的に査定額アップにつながる可能性があります。

ただし、買取業者は買取が決まった車の洗車や清掃を日常的に行っているため、査定前に自分で洗車や清掃を行っても、査定額が大幅に上がることはありません。したがって、車を洗車してキレイにすることは、車の査定額を上げるために必要なことではありませんが、車内の掃除に力を入れることは重要です。

車検切れ前に手放す

車検切れ前に車を買い取ってもらったほうがいい理由は、以下のようなものがあります。

  • 車検切れ前に売却することで、車検にかかる費用を節約できる。
  • 車検切れ前に売却することで、車検切れによる査定額のマイナスを回避することができる。

以上のように、車検切れ前に車を買い取ってもらうことで、車検を通すためにかかる費用を節約できます。

また車検が切れている車でも売却はできますが、車検切れの車は、新たに車検を通すための費用が必要となるため、その分、査定価格は下がります。

需要の高まる時期を狙う

需要の高まる季節が車の買い取り価格に与える影響は、以下のようなものがあります。

  • 買取業者の決算と中古車の需要のタイミングが重なる1~3月と9月は買取価格が上がる可能性大
  • 夏は、オープンカーやキャンピングカーの需要が高まるため、これらの車種の買取価格が上昇する可能性があります。
  • 冬には、スタッドレスタイヤやヒーターなどの需要が高まるため、これらの装備がある車種の買取価格が上昇する可能性があります。

決算期と中古車の需要のタイミングが重なる1~3月と9月は買取のベストタイミングです。また車種ごとの流行も買取価格に影響する可能性があり、需要の高まる季節によって、車の買い取り価格が上下します。

廃車買取業者の利用を検討する

このような業者に売るメリットは、大きな傷や故障があっても、部品としての価値があれば買取をしてくれることです。また、自分で廃車にする手間や費用を省くことができます。ただし、廃車買取業者に売る場合でも、複数の業者から見積もりを取ることで、最も高い価格をつけてくれる業者を見つけることが重要です。

よくある質問

以下に、車の傷に関するよくある質問とその回答を紹介します。

Q.車に傷があっても買取は可能?

A.はい、傷があっても買取は可能です。ただし、傷の大きさや深さ、位置によっては査定価格が下がる可能性があります。

Q.車の傷の程度による減額具合はいくら

A.傷の程度による減額具合は、傷の大きさや深さ、位置、修復に必要な作業などによります。具体的な減額額は、査定を受けてみないとわかりません。

Q.車の傷は直した方が良い?

A.傷の修復は専門的な技術が必要なため、自力で修復すると状態を悪化させる可能性があります。そのため、専門の修復業者に任せることをおすすめします。

Q.傷ありの車を高値で売るには?

A.傷のある車でも、車を清潔に保つ、車検切れ前に手放す、需要の高まる時期を狙う、廃車買取業者の利用を検討するなどの方法を活用することで、可能な限り高い価格で売ることが可能です。これらの方法は、車の見た目や価値を高め、買取業者からの査定価格を上げるための有効な手段となります。

まとめ

車の傷は、その大きさや深さ、位置、修復に必要な作業によって、査定価格に大きな影響を与えます。しかし、傷のある車でも、適切な手入れや販売戦略を用いることで、高い価格で売ることが可能です。

傷があるからといって車の価値がないと思わないでください。傷の程度や位置、修復の必要性などを考慮に入れ、適切な買取業者を選ぶことが大切です。また、車を清潔に保つ、車検切れ前に手放す、需要の高まる時期を狙う、廃車買取業者の利用を検討するなどの方法も、傷のある車を高く売るための有効な手段です。

車の買取は、一見複雑に思えるかもしれませんが、基本的な知識を身につけることで、より良い取引が可能になります。この記事が、車の傷と査定についての理解を深め、車の買取に役立つ情報を提供できたことを願っています。

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