車を手放す際、その買取価格は多くの要素によって影響を受けます。その一つが車に貼られたステッカーです。ステッカーは車の見た目を個性的にするだけでなく、車検日やエコカーの認定など、重要な情報を示す役割も果たします。しかし、ステッカーが買取価格にどのような影響を及ぼすのか、どのステッカーを剥がすべきなのか、また、どのように剥がすべきなのかは、多くの人々が知らない事実かもしれません。この記事では、それらの疑問を解消し、車の買取価格を最大限に引き上げるための知識を提供します。
車のステッカーと買取価格への影響
ステッカーやシールは車で個性を演出したり、愛着を持ったりするにも便利なツールですが、車の査定を受ける時には、ステッカーはプラスで評価されることはあまりありません。買取業者によりますが、ステッカーを貼っていないノーマル車と比較すると、査定価格は下がってしまう可能性があります。
ステッカーが買取価格を下げる主な理由は、買取業者が車を標準的な状態に戻すために剥がす必要があるためです。
ステッカーを剥がすと、その下の塗装が変色していたり、剥がし跡が残ったりすることがあるため、買取業者はステッカーが貼られた車に対して低い評価を下すことが多いのです。
車のステッカーの種類と意味
車に貼られるステッカーは多種多様で、それぞれが異なる意味を持っています。中には剥がしてはいけないステッカーもあるため、剥がす前に念のため確認しておきましょう。
車検シールは剥がしてはいけない
車検日を示すステッカーは、車検の有効期限を表しており、道路運送車両法第66条では公道を走行する際には車検シールを貼ることが義務とされています。
また、道路運送車両法第109条で車検シールがない状態で運転すると、50万円以下の罰金を科されます。
このように車を運転する際に貼ってることが必須の車検シールは、買取の際に剥がされているとマイナス査定を受けてしまう可能性が高く、剥がしてはいけません。
剥がしていいステッカー
一方で、以下のようなステッカーは、買取前に剥がすことが推奨されます。
法定点検のステッカー
車の12ヶ月・または24ヶ月の法定点検が完了したことを表す法定点検のステッカーは、車検シールと違い、貼らなくても違反ではありません。
そのため、買取前に剥がしてしまっても問題ありませんが、法定整備を受けていないと見なされるため、車の査定額にマイナスの影響を与える可能性もあります。
車庫証明のステッカー
車庫証明のステッカーは、車庫証明を受けた車であることを証明するためのステッカーで、正式には自動車保管場所標章と言います。
法律で自動車保管場所標章の貼付は義務となっていますが、貼っていなくても罰則の対象にはなりません。
エコカーに関するステッカー
エコカーのステッカーは、車の環境性能を示すものですが、貼り付け自体は義務付けられていません。
「シールがないとエコカーとして認定されない」ということもないので、剥がしてしまっても問題ありません。
趣味や装飾のためのステッカー
趣味や装飾のためのステッカーは、査定への影響を考えると貼ってない方がいいでしょう。これらのステッカーは車の外観を大きく変える可能性があり、買取価格に影響を及ぼす可能性があります。
ステッカーの剥がし方
ステッカーを剥がす際には、以下の方法があります。どの方法を選択するかは、ステッカーの種類や大きさ、そして車の塗装状態によります。
ドライヤーを使う方法
ドライヤーを使ってステッカーを温めることで、接着剤を柔らかくし、ステッカーを容易に剥がすことができます。ただし、温度が高すぎると車の塗装を傷つける可能性があるため、注意が必要です。また、ドライヤーの熱風は一定の方向にしか当たらないため、大きなステッカーを剥がす際には時間がかかる可能性があります。
ドライヤーでステッカーを剥がす際は、以下の点に注意してください。
- 温度を高くしすぎないようにする。
- ステッカーの端からゆっくりと剥がしていくこと。
- ステッカーの接着剤が残ってしまった場合は、スクレーパーや除光液を使って除去する。
ドライヤーでステッカーを剥がすのは、簡単で手軽な方法ですが、車の塗装を傷つけてしまう可能性があります。そのため、ドライヤーを使用する際には、十分に注意してください。
熱湯をかける方法
熱湯をステッカーにかけることでも、同様に接着剤を柔らかくすることができます。しかし、熱湯を直接車体にかけると塗装にダメージを与える可能性があるため、この方法は慎重に行う必要があります。また、熱湯を使う場合は、水滴が車内に入らないように注意する必要があります。
熱湯でステッカーを剥がす際は、以下の点に注意してください。
- 熱湯を直接車体にかけない。
- ステッカーの端からゆっくりと剥がしていくこと。
- ステッカーの接着剤が残ってしまった場合は、スクレーパーや除光液を使って除去する。
- 熱湯を使う場合は、水滴が車内に入らないように注意する。
熱湯でステッカーを剥がすのは、ドライヤーでステッカーを剥がすよりも効果的ですが、車の塗装を傷つけてしまう可能性があります。そのため、熱湯を使用する際には、十分に注意してください。
中性洗剤を使う方法
中性洗剤を使ってステッカーを濡らすことで、接着剤を溶かし、ステッカーを剥がすことができます。この方法は、ステッカーが小さく、剥がしにくい場合に特に有効です。ただし、洗剤が車体に残らないように、作業後はしっかりと洗い流す必要があります。
中性洗剤でステッカーを剥がす際は、以下の点に注意してください。
- 中性洗剤をスポンジや布に含ませ、ステッカーに塗布する。
- ステッカーの端からゆっくりと剥がしていくこと。
- ステッカーの接着剤が残ってしまった場合は、スクレーパーや除光液を使って除去する。
- 作業後は、車体をしっかりと洗い流す。
中性洗剤でステッカーを剥がすのは、簡単で手軽な方法ですが、車の塗装を傷つけてしまう可能性があります。そのため、中性洗剤を使用する際には、十分に注意してください。
ヒートガンを使う方法
ヒートガンを使う方法は、ドライヤーを使う方法と似ていますが、より高い温度で接着剤を柔らかくすることができます。ただし、高温による車体へのダメージに注意が必要です。ヒートガンは温度調節が可能なものが多いため、車体の塗装に合わせて適切な温度に設定することが重要です。
ヒートガンでステッカーを剥がす際は、以下の点に注意してください。
- ヒートガンの温度を車体の塗装に合わせて適切に設定する。
- ステッカーの端からゆっくりと剥がしていくこと。
- ステッカーの接着剤が残ってしまった場合は、スクレーパーや除光液を使って除去する。
- 作業後は、車体をしっかりと洗い流す。
ヒートガンでステッカーを剥がすのは、ドライヤーでステッカーを剥がすよりも効果的ですが、車の塗装を傷つけてしまう可能性があります。そのため、ヒートガンを使用する際には、十分に注意してください。
トレーサーを使う方法
トレーサーは、ゴム製の円盤に細かい突起が付いたもので、電動ドリルに取り付けて使用します。ステッカーを貼っている表面にトレーサーを当て、ドリルを回転させると、突起がステッカーの粘着剤を削り取ります。これにより、ステッカーを安全に、そして効率的に剥がすことができます。
ただし、トレーサーを使う際には、車体に傷をつけないように注意が必要です。トレーサーの突起が鋭いので、車体に当てすぎると傷が付くことがあります。また、トレーサーは専門的な道具のため、取り扱いには慣れが必要です。初めてトレーサーを使用する場合は、取扱説明書をよく読んでから使用してください。
ステッカーを剥がす際の注意事項
ステッカーを剥がす際には、以下の点に注意することが重要です。
傷がつかないように丁寧に作業する
ステッカーを剥がす際には、車体に傷をつけないように注意が必要です。傷は車の価値を下げる要素となります。そのため、剥がす際にはゆっくりと、丁寧に作業を行うことが重要です。特に、硬い道具を使って剥がす場合や、ステッカーが古くて硬くなっている場合には注意が必要です。
剥がし跡が残る可能性がある
ステッカーを剥がした後、接着剤の残りや色あせが見られることがあります。これらの跡をきれいにするためには、専門的なクリーニングが必要となる場合があります。特に、接着剤の残りは時間が経つと硬化し、剥がすのが難しくなるため、早めの対応が必要です。
剥がした部分が変色する場合がある
ステッカーが長期間貼られていた場合、剥がした部分と周囲の色が異なることがあります。これは、ステッカーが日光から車体を保護していた結果、周囲の塗装が変色してしまったためです。このような場合、全体の色を合わせるために塗装を行う必要があるかもしれません。
ステッカーと車の買取価格への影響についてのまとめ
車のステッカーは、買取価格に影響を及ぼす要素の一つです。ステッカーの種類や剥がし方を理解し、適切な対応をすることで、車の買取価格を最大限に引き上げることが可能です。また、新しいステッカーを貼る際には、その影響を考慮することが重要です。車を手放す際には、この記事が参考になれば幸いです。ステッカーの適切な管理と剥がし方によって、車の価値を保つことができます。