車の買取相場 車買取の基礎知識

車の買取相場が推移する要素は?年式や走行距離などの影響に付いて解説

中古車の買取相場は、様々な要素によって変化します。愛車を売りたいと考えた時、買取相場が推移する要素を予め知っておけば、悪質な業者に買い叩かれる事を避けられますので、買取相場が何で変化するのか、知っておくことは重要です。

ここでは、

  • 買取相場が変わるポイントを知りたい方
  • 高く売る為のポイントを知りたい方

に向けて、買取相場が変化する要素について解説していきます。

車の買取相場に影響を与える要素は?

車の買取相場を決める要素は大まかに分けて3つの要素があります。

それは、「車体の固定の要素」と「車体の変動する要素」、そして「外的要因」です。詳細は以下の通りです。

固定要素・車種
・グレード
・年式
・ボディカラー
・純正オプションの有無
・修復歴の有無
・修理歴、事故歴の有無
変動要素・走行距離
・売却する時期
・内装の状態
・外装の状態
・社外パーツの有無
・車検や自賠責保険の残月数
・ローンなどの残債
外的要因・為替相場
・社会の景気、経済状況
・自動車産業の動向
・政策や法規制

このように、買取相場を決める要素は多岐に渡ります。以下ではそれぞれ、実例を交えて、買取相場の変化について解説していきます。

固定要素:車種・年式・グレードの違いによる買取相場の推移

ここでは、ミニバン・ワンボックスカーで人気の、トヨタのアルファードを例に年式やグレードによる相場の変化を見ていきます。

グレードによる違い

アルファードの2021年モデルを見てみると、24ものグレードがあります。

その中で最も安価なグレードが2.5Xで、新車価格は360万円となっています。逆に、最も高いグレードである3.5エグゼクティブラウンジSは、新車価格が762万円となっていて、同一車種でもグレードによって300万円以上価格が異なる事が分かります。

では、中古車の買取相場がどうなっているかと言えば以下の通り。

トヨタアルファード 2021年式
グレード新車価格中古車買取相場
2.5X360万円169~578万円
3.5エグゼクティブラウンジ762万円539~988万円
※2023年4月時点の調査

このように、グレード相応に中古車価格も上下している事が分かります。原則として、グレードが高い方が高く売れるし、安価なグレードはその分安くなります。

ボディカラーやオプションによる違い

中古車の買取相場は、ボディカラーやオプションの有無でも変わります。トヨタのアルファード2021年式を例にとると

ボディカラーの違いによる中古車買取参考価格

ブラック(標準)382万円~489万円
グラファイトメタリック(標準)382万円~489万円
ホワイトパールクリスタルシャイン(オプション)384-491万円
※「車買取相場データベース」2023年4月調べ 走行距離2万km以下、エコグレードで抽出

このように、わずかではありますがオプションカラーの方が高い値段がつきやすいことが分かります。

純正オプション

・カーナビ

・リアフォグランプ

・サンルーフ/ムーンルーフ

アルファード2021年式2.5Xの場合、上記の純正オプションがあります。

アルファード純正ナビなし
アルファード純正ナビあり
※画像出典:カーセンサー2023年4月調べ

オプションの有無だけが違うという中古車は中々ないので単純比較は難しいのですが、上記のように、純正ナビの有無がタイトルでアピールされているように、基本的に純正オプションがついている方が買取価格は高くなります

年式の違いによる中古車の買取相場の推移

一口に同じ車種といっても、年式が違えば装備や排気量、燃費性能など様々な違いがあります。その為、基本的には新しい車の方が高く売れますし、古い車の方が安くなります。

年式による価格の変動は以下のようになっています。

買取相場参考価格
3年落ち364~459万円
5年落ち320~439万円
7年落ち247~337万円
10年落ち101~183万円
13年落ち104~151万円
※トヨタのアルファード ブラック、走行距離3万km以下で「車買取相場データベース」2023年4月調べ

同じボディカラー、走行距離、グレードで比較しても、年式が違うと上記の通り大幅に買い取り価格が変わってくる事が分かります。特に10年以上古いモデルとなると一気に買取価格が下がり、この傾向は多くの車種で見られます。

年式による差は「5年越え」「10年越え」が一つの区切りとなって大きく下がる可能性がある、という点は意識しておきましょう。

修復歴の有無による買取価格の違い

修復歴とは、車の骨格(フレーム)にあたる部分を修理した事があるかどうかです。中古車販売では修復歴の有無は表示が義務付けられており、買取時にも必ずチェックされるポイントです。

事故などが理由で修復をした事がある場合、骨格部分のゆがみや損傷は、安全性に直結する為、車種にもよりますが数十万円単位で買取価格が下がる可能性があります。

丁寧に直した上で安全性に問題が無い状態だとしても、そのような事故を起こした車は見えないところに損傷が残っている可能性や不安がぬぐえない為、修復歴がある場合は買取価格が大幅に下がる事は避けられません。

修理歴・事故歴の有無による買取価格の違い

修理歴とは、骨格に関わらない傷や損傷を直した事があるかどうかで、軽微な傷は勿論、バンパーやトランク、ボンネットなどの修繕も、修復歴ではなく修理歴に含まれます。

修理歴は修復歴と違い、安全上の問題はないとされ、中古車販売時の表示義務もありません。傷や凹みをそのままにしていたら査定は下がりますが、きちんと直した上であれば、買取価格への影響もほとんどありません。ただし「修理金額>査定の増加分」となる可能性もありますのでどちらがおトクかはケースバイケースです。

これは事故歴も同様で、修復が必要でない軽微な事故であり、損傷部分を直してさえいれば、買取価格にはさほど影響しません。

ただし、修復歴、修理歴、事故歴いずれも買取査定時には必ずチェックされるポイントです。そこでウソをついて隠していた場合、後からそれらが発覚すると損害賠償請求の裁判にまで発展するケースもあります。修復歴は勿論のこと、例え軽微な修理や事故であっても、中古車を買取査定に出す場合には正直に申告しましょう。

固定要素による買取相場の推移のまとめ

ここまで解説した固定の要素については、車を売却しようとしている段階で変える事の出来ない部分です。ただし、年式の違いによる買取価格の違いからは、5年・10年という区切りを意識する事で、より高く売れるタイミングを見極める事が出来るでしょう。

「いつ売るか」を判断する上で、愛車の年式と今何年落ちなのかは重要な要素なので、その点は抑えておきましょう。

変動要素による買取相場の推移

ここからは、買取査定を検討している段階で、より高く売るためにご自身で変えられる部分について解説していきます。

走行距離による買取価格の推移

まず走行距離による買取相場の違いについて見ていきます。走行距離は既に走った分を無くす事は出来ませんが、買取査定を検討している段階から車の使用を控える事で、より高く売れる可能性が高まります。

走行距離は主に

  • 1万km
  • 3万km
  • 5万km
  • 7万km
  • 10万km
  • 15万km

といった区切りを一つの基準として査定が変わると言われていますが、数千km単位の差でも査定が変わるケースがあり、この基準は買取店や車種により異なります。

ただ、どんなに細かい見方をする買取店であっても、5000km未満の単位で区切るケースは稀なので、5000kmごとを一つの区切りと捉えておきましょう。

その上で、実際に査定がどの程度変わるのか、以下で見ていきます。

2020年式(3年落ち)トヨタ アルファードエコグレード・ブラック
走行距離買取相場参考価格
1万km未満347~463万円
3万km未満364~459万円
5万km未満329~463万円
7万km未満322~435万円
10万km未満326~429万円
15万km未満277~379万円
15万km以上275~377万円
※「車買取相場データベース」2023年4月調べ

比較的新しい2020年式(3年落ち)の場合、大きく差が出るのは10万kmを超えた車です。ただ、3年でそれほど走るケースは稀で、かつアルファードのような人気車種の場合は、走行距離による差が出にくい事が分かります。

次に、2013年式(10年落ち)を見てみます。

2013年式(10年落ち)トヨタ アルファードエコグレード・ブラック
走行距離買取相場参考価格
1万km未満171~264万円
3万km未満101~183万円
5万km未満156~212万円
7万km未満91~139万円
10万km未満122~190万円
15万km未満112~162万円
15万km以上112~162万円
※「車買取相場データベース」2023年4月調べ

基本的には走行距離が多くなれば多くなるほど安くなる傾向にありますが、アルファードのような人気車種の場合、走行距離が多くとも底値が固いことが見てとれます。

そして、同一カラー、同一グレードのアルファードの場合、2013年式で1万km未満の車体より、2020年式で10万kmの車の方が高い事から、走行距離よりも年式による違いの方が、買取価格には大きく影響することが分かります。

売却する時期による買取価格の推移

中古車市場は年度が替わる直前の2月、3月、そして新車のモデルチェンジやマイナーチェンジが発表される事が多い秋口の手前、7月、8月に中古車の取引が活発になる事から、買取価格が上がりやすいと言われています。

ただ、この点は買取店の在庫状況や車種の需要にも大きく左右されるため、単一店舗での査定で見極めるのではなく、複数店舗から入札があるセルカやユーカーパックのようなカーオークション形式での売却の方が、時期によって買取価格がアップする可能性が高いと言えます。

内装・外装の状態による買取価格の推移

内装、外装は傷や汚れが無い綺麗な状態であればあるほど査定が高くなりやすいのは言うまでもありません。喫煙・禁煙にも関わる部分ですが、車内からタバコの匂いやカビの匂い、また動物の匂いなどが残っていればその分査定に響きますし、傷や破損があっても同様です。

外装では細かな傷やフロントガラスの飛び石による傷、ホイールの傷なども査定の項目に入ります。

買取相場への影響という点では数千円から数万円レベルの影響ですが、一つ一つが積み重なればそれなりの差になってきます。買取査定に出す前に、車内をくまなく清掃したり、個人で直せる程度の傷は修繕をしておくと、買取査定がアップします。

社外パーツの有無による買取価格の違い

ドレスアップ目的や走行性を高めるために、純正ではない社外品のパーツが取り付けられている車体もあります。その場合、買取査定がどちらに転ぶかはケースバイケースです。ただ、基本的には純正品の方が高くなりやすい傾向があります。

特に、ディーラー下取りに関しては、社外品はどれだけ高価な物であっても、一切プラス査定はされません。

ここで気を付けたいポイントは、取り外した純正品を保管している場合です。

社外品の有無による買取価格の違いは、車種やついているパーツにより千差万別なので、価格面については一概に言えませんが、取り外した純正品を保管している場合、買取査定時に必ずどちらがついている方が良いか査定員に尋ねましょう。その上で、もしも純正品の方が高く、ご自身で付け替え作業が可能なのであれば、純正品に戻して買取に出すと高く売れる可能性が高まります。

車検や自賠責保険の残月数による買取価格の違い

車検や自賠責保険は、数千円から数万円単位の差ですが残っていればいるほど買取価格はプラスされます。ただし、売却時期をズラしたり、新たに車検・自賠責保険を更新したからといって、する前とした後では、残っている月数分、買取価格がそのままスライドするだけなので、売り手にとってプラスとなる面はあまりなく、さほど気にしないで良い要素と言えます。

1点注意したいのは、ほとんど価格がつかないような車の場合です。

廃車寸前の中古車であっても、0円という事はなく、部品取りや海外へ流す事で価値が生まれる為、どのような車でも基本的に数万円の値段はつきます。

そういったケースでは、買取店が再販を考えていないケースも多く、そもそもの買取価格が低いため、車検や自賠責保険の残りが多いからといって査定にプラスとなるケースはほとんどありません。

そのような中古車を買取に出す場合には、車検や自賠責保険の更新が迫っているからといって、更新してから売りに出すよりも、その前に売却してしまう方がお得と言えます。

ローンの残債がある場合の買取相場の変動

ローンが残っている場合でも買取に出す事は可能です。その場合、ローンの残債が無い場合の買取価格から、残債がそのまま差し引かれる形となり、その分買取価格は下がります。残債の多少は関係ありません。

但し、ローンが残っている中古車を買取に出す場合、所有権がディーラーや信販会社のケースがあり、その場合は所有権の移転手続きが必要です。買取店に諸手続きの代行を依頼する事も可能ですが、その分の手数料が差し引かれるため、こういったケースでは、自分で出来る手続きは自分で行った方が、最終的に手元に残るお金は増えます。

外的要因でも買取価格は変わる

中古車の買取相場は、愛車の状態とは無関係な要素でも変動します。

これらは個人ではどうしようもない部分ですが、知っておくことで売却に最適なタイミングを見極める事が可能です。

自動車業界の動向を知っておこう

外的要因で最も重要なのは、自動車業界の動向です。中でも比較的新しい車を買取に出そうとしている場合には、愛車のマイナーチェンジ、フルモデルチェンジがいつなのか、という点は必ず押さえておきたいポイントです。

一般的に、フルモデルチェンジが発表されると、世代が前の同一車種の買取相場が一斉に下がるケースが多いです。また、軽自動車、コンパクトカー、セダン、ワンボックス、ミニバンなど、少し大きなカテゴリーで見た時に、優秀な新型車の登場が決定すると、同一カテゴリー・同一メーカーの中古車相場が下がります。

新型車の発表・発売の時期や、フルモデルチェンジの情報は常に更新されていますので、愛車を買取に出す前に、それらの情報を確認し、いつまでに売却すべきか、予め見定めておきましょう。

為替相場による影響

中古車は、日本国内だけでなく海外へ輸出されるケースも多いです。日本車は安全性や燃費、耐用性に優れているため、特にトヨタのプリウスやホンダのフィット、日産のセレナなどが人気です。また、商用にも転用できるトラック、ミニバンなども地域によって需要があります。

こういった輸出にも活用できる車種の場合、円安の時期ほど高く買い取ってもらえる可能性が高まり、逆に円高の時期は買取価格が下がります。

ただ、中古車の輸出に関しては、国による法規制の違いや手続きの多さ、販路の確保といった問題から、小規模買取店が輸出を手掛けているケースは稀です。その為、輸出に向いた状況・適した車種を買取に出そうと検討している場合には、大手買取店へ査定に出すのがオススメです。

社会の景気、経済状況の変化による影響

日本国内においては、長らく続いたデフレや少子高齢化の影響などもあり、自動車自体の需要が低下していると言われています。一方、所得格差の拡大傾向は今後も続くと見込まれているため、富裕層向けの高級車に関しては経済状況に関わらず、今後も中古車を含めて需要が高まると見られています。

また、海外での紛争や疫病の流行が原因で、世界的に経済活動が鈍化するようなケースもあり、そのような時期は、どうしても中古車の買取価格は下落しがちです。

ただ近年は戦争や感染症による影響で半導体不足が起きており、結果新車の供給が間に合わず中古車の相場が高騰していたり、と一概には言えません。

社会全体の景気や経済動向を個人で変える事はできませんが、「悪い時期を避ける」事は出来るので、現在の買取相場と社会の動向が今後どうなるのか予測した上で、年式や走行距離との兼ね合いも含め、売却する時期を見極めましょう。

政策や法規制による影響

最も分かりやすいのが消費税です。消費税の増税が決まると、その切り替え直前には税率が低いうちに自動車を買い替えようと駆け込み需要が発生します。その為、中古車の買取相場も上がります。

勿論、その分駆け込み需要時には中古車の販売価格も上がりがちなので、買い替えを検討しているようなケースでは、場合によっては消費税増税前に売却し、増税後に需要が落ち込んだタイミングで購入した方が、消費税のアップ分を差し引いても得をするケースもあったりします。

また、今後さらなる原油価格の高騰や、EV車を推進する機運が高まってくると、ガソリン車の需要が減り、EV車やハイブリッド車の需要が高まる為、燃費が悪いガソリン車の買取価格が下がり、高燃費の車や、電気自動車の買取価格が上がる傾向があります。

車を高く売るためには~まとめ

買取相場の推移は、実に様々な要素によって変動しています。そんな中、少しでも高く愛車を売る為に抑えておきたいポイントは以下の通りです。

  • まずは愛車のおおよその買取相場を把握しておく
  • 変えられない要素(車種・グレード・年式)については「少しでも早く売る方が高く売れる可能性が高い」
  • 走行距離は区切りの距離を意識して売るタイミングを調整できる
  • 自分で出来る掃除や修繕、手続き等は査定前にやっておいた方が絶対お得
  • 自動車業界含め社会の動向も把握しておき適切な時期を見計らう

全ての要素を完璧に把握するのは難しく、時間も労力もかかります。ですが、査定が変わるポイントを最低限把握しておき、相場を理解していれば、悪質店に買い叩かれるのを避ける事にも繋がりますし、何よりご自身が「どこまでの手間をかけるのか」「いくらなら納得して売れるのか」というご自身の納得感も得られます。

実は、中古車の売却をする上で最も重要なのは、その納得感だったりします。

中古車の買取は、それなりに大きな金額が動き、手間も時間もかかる取引ですから、きちんと中古車相場変動のカラクリを知り、その上で満足のいく取引ができるよう心掛けて下さいね。

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