「廃車」とは、故障や事故などで使用ができなくなり、以後乗用車として使用しなくなった車両のことを指します。ここでは、廃車にまつわる基本知識の他、廃車時のおすすめの処分方法についてもご紹介します。
車を捨てるだけが廃車ではないため、ぜひ参考にしてみてください。
廃車とはどういう状態
「廃車」とは、車が有している車籍(戸籍のようなもの)を正式に抹消する手続きのことであり、この手続きは必ず正式な手順で行う必要があります。例えば、事故で壊れた、古くなり乗らなくなったという場合でも、単にスクラップ工場に預けただけでは、正式な廃車手続きとはなりません。
車の所有者は、車籍抹消の手続きが煩わしくて後回しにしてしまいがちですが、速やかに廃車手続きをしないと税金や自賠責保険を余分に払うなどのデメリットがあります。
〇2023年の自動車税
排気量 | 新規等登録から13年未満 | 新規等登録から13年経過 |
660cc | 10,800円 | 12,900円 |
1,000cc以下 | 25,000円 | 33,900円 |
1,500cc以下 | 30,500円 | 39,600円 |
2,000cc以下 | 36,000円 | 45,400円 |
2,500cc以下 | 43,500円 | 51,700円 |
3,000cc以下 | 50,000円 | 58,600円 |
3,500cc以下 | 57,000円 | 66,700円 |
4,000cc以下 | 65,500円 | 76,400円 |
4,500cc以下 | 75,500円 | 87,900円 |
6,000cc以下 | 87,000円 | 101,200円 |
6,500cc超 | 111,000円 | 127,600円 |
上記の自動車税は1年分です。廃車手続きを行う事で、税金の還付も受けられます。また、任意保険の保険会社にも解約(中断)の連絡が必要で、怠ると延々保険料を毎年支払う事になってしまいます。
もう乗らない・乗れない、買取にも出せないという場合には、速やかに車籍の抹消手続きを行いましょう。
ただ、車籍の抹消には2種類の方法があります。
永久抹消登録とは
一般的な廃車のイメージが永久抹消登録です。
もう車に二度と乗らず、車両自体を処分する場合の手続きが永久抹消登録です。永久抹消登録には以下の書類等が必要です。
- 車検証
- 前面と後面のナンバープレート
- 所有者の印鑑証明書(3ヵ月以内に発行したもの)
- 解体報告記録の日付と移動報告番号をメモしたもの
- 手数料納付書
- 永久抹消登録申請書
- 自動車税・自動車取得税申告書
これらを運輸支局(陸運支局)に提出する必要があります。また、重量税の還付申請がある場合には同時に手続きを行います。
運輸支局(陸運支局)は原則として土日は営業しておらず、営業時間も16時頃までが一般的なため、勤め人の方が廃車手続きを行うのは大変です。
そこで活用したいのが廃車買取サービスです。例え動かない事故車や水没車なども、費用をかける事なく引き取ってくれる廃車買取業者が多数ありますので、一般の方が自ら廃車手続きを行わなければならないケースというのはほとんどありません。
廃車買取サービスは、部品取りや海外への輸出などで車両を活かして利益を上げる仕組みで、出張査定費用やレッカー代などの費用も必要ないケースがほとんどです。まだ動く車であれば最低でも数万円の値段が付くケースは多いので、もう二度と乗らないという車を廃車にする際は、まずは廃車買取サービスの利用を検討して下さい。
一時抹消登録とは
一時抹消登録とは、長期の海外出張や盗難などのアクシデントにより一時的に車両を使わない状況になったものの、今後再び乗る可能性がある場合に、一時的に税金を免除するための手続きです。
必要な書類等は場合によって異なります。
※原則必要な物
- 一時抹消登録申請書
- 所定の手数料印紙を貼付した手数料納付書
- 所有者の印鑑(登録)証明書
- 所有者の委任状
- 自動車検査証
- 自動車登録番号標
※事業用車の場合
- 事業用自動車等連絡書
※盗難や遺失の場合
- 理由書
- 罹災証明書(災害の場合)
- 盗難届の受理番号
こちらも運輸支局(陸運支局)で手続きを行います。
仕事を休んだりする必要があるかもしれませんが、出来る限り早めに行わないと無駄に税金や保険料を支払う事になります。どうしても運輸支局(陸運支局)に行けないという場合には、行政書士などが代行サービス(6,000円~15,000円前後)を行っていますので、活用しましょう。
また任意保険も中断が可能なので、合わせて手続きしておきましょう。
廃車のメリット・デメリット
廃車にはメリットとデメリットがありますが、もう乗らなくなった・乗れなくなった車に関しては廃車にするメリットの方が大きく、早めに廃車手続きを行うのがオススメです。
廃車のメリット
- 維持費を支払わなくて済む
- 還付金を受け取れる
- 廃車買取サービスを利用すれば手続きの手間が減るだけでなく買い取ってもらえることもある
もう乗らなくなった車を廃車にせず放置しておけば、自動車税や任意保険、自賠責保険などをずっと支払い続ける必要があります。また、駐車場等に保管し続けていれば、保管にかかるコストもあります。
永久抹消登録、一時抹消登録どちらであっても、乗らない事が確定した時点で速やかに手続きを行いましょう。
また、永久抹消登録の場合は、タイミングによっては自動車税、自動車重量税、自賠責保険の還付が受けられますし、まだ乗る事が出来る車の場合、廃車買取サービスを利用する事で自前での手続きが不要になるだけでなく、数万円程度で買い取ってもらえるケースもあります。
廃車のデメリット
- 自前での手続きは面倒
- 処分には費用がかかる
運輸支局(陸運支局)は土日が休みで営業時間も16時までのケースが多く、揃える必要がある書類も多いため、自分での手続きは非常に大変です。
また、車体を処分する際には以下の費用が発生します。
- 車体解体費用(0円~20,000円前後)
- リサイクル料(7,000円~20,000円)
- 自走出来ない場合のレッカー代(15,000円~20,000円)
実際には車体の状態により細かく異なりますが、いずれにせよこれらは廃車買取サービスを利用すれば必要のない手間と費用です。自前での処分はオススメできません。
ただ、廃車買取業者でも中には悪質な業者もいて注意が必要です。以下で解説していきます。
廃車であるトラブル
廃車にする際、廃車買取サービスを利用した時に起こりやすいトラブルは以下の通りです。
- 金銭トラブル
- 出張査定時のトラブル
- 車体引き渡し後の手続きに関するトラブル
廃車のお金に関するトラブル事例
最も多いのがお金に関するトラブルです。代表的なトラブルが
- 電話やネットを通じて提示された金額と現物を見た後の金額が違う
- 無料と聞いていたのに後から手数料を請求される
- 還付金に関する説明がない
といったケースです。こういったトラブルを避ける為には
- 最終的な買取金額は現物確認の後と理解しておく
- 手数料がかかるケースを全て・必ず最初に確認
- 還付金の手続きをどこまでやってくれるのか必ず・予め確認
と、業者が現物を見る前に廃車に関する正しい知識を持った上で、業者としっかりコミュニケーションを取る事が大切です。
廃車の出張査定時のトラブル事例
廃車買取業者はそのほとんどが出張査定を無料と謳っていますが、中には
- その場で契約しないなら出張料を取る
- 契約するまで居座る
- 査定時に不当に買取金額を下げてくる
といったトラブルに発展するケースがあります。
出張査定は、業者側からすれば人件費がかかっているので、行くからには安く買い取りたいのは本音です。悪質とまでは言えなくとも、強引なセールストークを展開する業者は少なくありません。
とは言え、そのようなトラブルに巻き込まれてはたまりませんから、
- 出張査定前に車両の状態をできる限り細かく伝える
- どのようなケースで手数料がかかるか事前に必ず確認
- 出張査定前のコミュニケーションを面倒くさがる業者を選ばない
- 査定に納得できなければ毅然と断る(苦手な方は複数人で査定に対応できる日を選ぶ)
このような対策をする事で、不用なトラブルを回避する事ができます。
廃車手続きに関するトラブル事例
手続きに関するトラブルとは
- 廃車前提で引き取りながら業者が必要な手続きを放置して税金が発生し続ける(本来貰える還付金が得られない)
といったものです。
手続きを放置はしないものの、完了するまでが遅い業者も一定数いて、いつまでに名義変更もしくは抹消登録の手続きを行うかによって還付される税金が変わってきてしまいます。車両を引き渡した後、いつまでに手続きを終えるのか、予め必ず確認しましょう。
その上で、新しい車検証のコピー、もしくは抹消手続きが終わった事を証明する書類を郵送で受け取りましょう。優良な業者はこれらの書類についても事前に必ず説明があるので、そういった説明が無いような業者は初めから避けた方が無難です。
まとめ
廃車に関する手続きは煩雑で、そのすべてを自分でやる事は難しいため、まともな買い取り額はつかないし、もう乗らないという車を手放したい時は、廃車代行、廃車買取サービスを利用するのが賢い方法です。
一方、廃車買取サービスには、様々なトラブルも潜んでいますので、しっかりとした知識をもって、正しく廃車手続きを行いましょう。
なお廃車をするか悩んでいる人には、一度中古車買取業者での査定をしてみるのをオススメします。以下の記事で廃車より中古車買取業者がオススメの理由・オススメの買取業者を解説していますので、そちらも参考にしてみてください。