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廃車と買取どっちがオススメ?車の処分方法を徹底解説

もう乗らない、乗れなくなった車を廃車にしようとする時、気になるのはその費用ですよね。

自分で廃車手続きをするとスクラップ代やレッカー代、廃車手続きの諸費用など、総額で10万円近く費用がかかるケースもあり、何より廃車手続きは非常に手間がかかります。

しかし、例えもう動かないような車でも、車両を手放す時にそのような費用を払う必要も手間をかける必要もありません。この記事では

  • 乗らなくなった車の処分方法で悩んでいる人
  • 事故や天災等で乗れなくなった車の処分に悩んでいる人
  • 少しでもお得に廃車したい人

に向けて、廃車の費用にまつわる基礎知識から、お得に処分する方法まで徹底的に解説していきます。

結論から言えば、廃車は絶対に自分でやらない方がお得で、中古車買取・廃車買取業者に売却する方がはるかに手間も費用もかかりません。ではなぜそうなるのか、以下で一つずつ解説していきますので、気になるポイントをチェックしてみてください。

廃車とは?戻るお金と必要な費用

廃車とは、自動車1台1台がもつ車籍(戸籍のようなもの)を抹消する事で、車両自体を物理的に処分するのとは別に、廃車の手続きを運輸支局(陸運支局)で行う必要があります。廃車をすると、タイミングにもよりますが、自動車税・重量税・自賠責保険の還付金を受け取る事ができます。

一方で、車両の解体費用、リサイクル料、自走出来ない場合にはレッカー代などの費用がかかります。

また、廃車には「永久抹消登録」「一時抹消登録」「輸出抹消登録」の3種類があり、それぞれ還付される税金・保険が異なるので一つずつ見て行きます。

永久抹消登録(一般的な廃車)とは

一般的な廃車のイメージにあたるのが永久抹消登録で、今後走る事のない車両を処分する為の手続きです。手続きは運輸支局(陸運支局)で行いますが、車検証やナンバープレートの返還や、車両の解体をして所定の手続きを行うことで、自動車税の還付を受けられます。

重量税や自賠責保険の還付手続きは別となりますが、自動車税・重量税・自賠責保険の残り期間がある場合、永久抹消登録する事で、それらの還付金を受け取る事ができます。

一時抹消登録とは

長期の海外出張や入院、罹災などで、一時的に車に乗れない状態になったが、後々再度乗る可能性がある時にする手続きです。ナンバープレートの返還は必要ありませんが、車検証などを運輸支局(陸運支局)に提出し、再登録の手続きを行うまでの間、自動車税や自賠責保険が免除(還付)されます。ただ、一時抹消登録の場合は、重量税は還付されません。

輸出抹消登録とは

輸出抹消登録とは、輸出業者が販売目的で車を海外へ運んだり、個人が海外で自分の車に乗ったりする為に必要な手続きです。この手続きを行うとその車両は日本国内で走る事は出来なくなります。

輸出抹消登録を行うと自動車税、自賠責保険は還付されますが、重量税は還付されません。

廃車の詳細ついては以下の記事で詳しくまとめています。

自分で廃車手続きをするのはオススメ出来ない

上記は全て自前で廃車にすることを前提にしています。しかし、実際に自分で廃車をするには

  • スクラップ工場を探して解体費用を払って処分する
  • 必要な書類を全て集める
  • 運輸支局(陸運支局)に行って手続きをする
  • 重量税・自賠責保険の還付手続きを別途行う

簡単にまとめても上記4つのステップが必要で、更に肝心の手続きを行う運輸支局(陸運支局)は土日が休みな上に、平日は16時頃までしか営業していないところがほとんどです。働いている方の多くが運輸支局に行く事自体が難しいでしょう。

尚、廃車手続きは行政書士に代行を依頼する事も可能ですが、当然その分追加で費用がかかります。

  • 車体解体費用(0円~20,000円前後)
  • リサイクル料(7,000円~20,000円)
  • 自走出来ない場合のレッカー代(15,000円~20,000円)
  • 行政書士の廃車代行(5,000円~10,000円)

これらの費用がかかれば、例え還付金を全て受け取れたとしてもトータルの収支はマイナスになるケースもあり、非常に多くの手間もかかりますので、自前での廃車手続きはあまりオススメできません。

では、どうすれば良いかと言えば、中古車買取業者や廃車買取業者の活用です。

廃車より中古車買取業者の方がオススメな理由

自前での廃車は多くの手間と費用が発生します。

一方、まだ走れる車であれば、自分にとっては価値のない車でも、海外で需要があったり、バラして部品取りに活用する事が出来る為、思わぬ値段が付く場合があります。

中古車買取は還付金は無いが確実にプラス

まず検討して頂きたいのが中古車として売れるかどうかです。中古車として売却する事が出来れば、そもそも廃車の手続き・手間が必要ありませんし、還付金は無い(買取査定に組み入れられる)ものの、処分費用が一切かからない為、確実に手元にお金が残る形で車を処分できます。

とは言え、すでに中古車としては値段が付かないという車も多いかもしれません。そこで試して頂きたいのがカーオークションです。

中古車買取業者の中でもカーオークションがオススメな理由

セルカを始めとするカーオークションサイトは、運営会社を通じて中古車買取業者を対象に個人がカーオークションに出品できるシステムです。セルカには7,000社以上の参加しているため、

  • 古い車や過走行車でも海外に強い販路を持つ業者
  • 部品取りや鉄・プラスチックなどの素材取りに強い業者
  • 中古車として在庫が欲しい業者

など、様々な業者からの入札が期待できる為、近隣の中古車買取業者を一つ一つ回って査定を受けるより、はるかに効率的に愛車を多数の業者の目に留めることができます。

また、一括査定のような営業電話に悩まされる必要もなく、運営会社一社とのやり取りで済むのも大きなメリットです。

廃車に近い車は大手より中小買取店が向いている理由

中古車買取というとガリバーやビッグモーターなどの大手が浮かぶ方は多いと思いますが、そういった大手中古車買取店は経営の効率化を図るため

  • 確実に利益が出て回転率・需要の高い車を優先して高価買取
  • 手間のかかる安値の車は買取金額が低い

という傾向が強く、廃車に近い車の場合「0円査定」というケースも少なくありません。

一方、カーオークションサイトに参加している業者は中・小規模の業者が多く、中には独自の販路を持っているケースもある為、大手買取業者よりも愛車に価値を見いだしてくれる可能性が高いと言えます。

カーオークションサイトならリスクも無い

これは廃車買取業者にも言える事ですが、小規模な中古車買取業者に買い取りを依頼する際には、以下のようなデメリットもあります。

  • その業者が信頼できるのか判断材料が少ない
  • 買い取ったあとに支払いが遅れるなどのリスク
  • 廃車買取であれば還付金手続き等の不備があるリスク

セルカを始めとするカーオークションサイトであれば、そもそも買取業者と直接取引をする必要がなく、売却代金の支払いなども全て運営会社が担保してくれている為、小規模業者とのやり取りでありがちなトラブルに巻き込まれるリスクがほぼ無い点も大きなメリットです。

少なくともまだ走れる車には、それだけで十分価値がある為、廃車の手続きを検討する前に中古車買取、中でもカーオークションサイトへの出品を検討してみる事をオススメします

廃車買取業者は中古車買取に出せない場合がオススメ

中古車買取の次におすすめの処分方法が廃車買取業者です。どうしても中古車としては売れなかった、値段が付かなかった、自走出来ない不動車などの場合、廃車買取業者に買い取ってもらうのが良いでしょう。

廃車買取業者は、基本的には車両の解体から運輸支局(陸運支局)での手続きなど、廃車に必要な手続きを代行してくれた上で車両を買い取ってくれる業者です。売り主の手間としては、中古車買取業者に売却するのとほぼ変わりはありません。

廃車買取業者は単純に中古車として再販する業者と違い、自前でスクラップ工場を持っていて解体コストが低かったり、車両から取れる鉄くずやプラスチック・レアメタルや部品などを流す販路を持っていて、車として販売しなくても利益を上げられる体制が整っているため成り立っています。

仮に走行出来ない状態の車両でも、本体を入手する事自体にメリットがある為、廃車手続き等を代行して買い取り代金を払ってでも車を入手したいのです。

ただし、廃車買取業者は小規模な業者も多く、中には値段が付く物だけ取り出して不要な部分を不法投棄したり、本来やるべき手続きを怠って税金の還付が減額したり、といった元のオーナーがトラブルに巻き込まれるような悪質な業者もいて、その点は注意が必要です。

尚、廃車買取を謳っていても、全てが全て廃車目的での買取というわけではなく、輸出や国内での再販売も同時に行っている業者もいますので、売却した先に車両がどう使われるのかは、買取査定の際に必ず確認した上で、受け取れる還付金等についても合わせて確認しましょう。

悪質な廃車買取業者に合わない為の注意点

  • 各種税金や保険の還付金について必ず事前に説明がある
  • 廃車手続きをした証明書の送付がある
  • 手続きや証明書の送付を行う期限を明示してくれる

最低でもこれらを満たした業者に廃車買取を依頼しましょう。

廃車買取は、本来必要な手間を大幅に削減できるだけでなく、場合によっては数万円のプラスになるケースもありますが、中古車買取に比べて小規模な業者が多く、適切な業者を選ばないとリスクがあるという点には注意しておきましょう。

中古車買取・廃車買取業者以外でお得な処分方法はある?

中古車買取業者、廃車買取業者以外で、費用をかけずに(プラスにしつつ)廃車をする事も不可能ではありません。ただ、非常に手間がかかり、専門性も必要になる方法ですのであまりオススメは出来ませんが、以下にご紹介します。

部品取りを自分でやるのはどこまでOK?

オーディオ関係の設備やサンシェード、ETC、ドラレコ、カーナビ、タイヤ、ホイールなど、個人でも取り外しが出来る部品の中には中古でもニーズが高いものがあり、中でもクオリティの担保がある純正品なら価値が付く可能性は高いです。

車の整備に関して知識と技術・工具などがある場合、買取業者に流すよりは、売れそうな部品を予め取り外しておき、ヤフーオークションやメルカリなどのフリマサイトで販売する方が、最終的に得られる金額が高くなる可能性は十分あります。

ただし、そういった部品を外した後の車両については当然廃車買取に出しても査定が下がります。また、個人がこういった部品取りをするには法律上の注意点もあります。

自動車リサイクル法により無許可で解体できない部品がある

車には法律により取り外してはいけない部品が決まっています。それらは大まかに以下の通りです。

  • マフラー
  • エアバッグ
  • ハンドル
  • スピードメーター
  • バンパー
  • シート
  • ライト
  • バッテリー
  • タイヤ
  • ラジエーター
  • エンジン系
  • 電子制御機器
  • サスペンションなど

これらの部品は取り外す事で車検に通らなくなり、走行に支障をきたす恐れがある事から、個人で取り外すとリサイクル法違反として1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。

車体を買い取ってもらえなくなるリスクがある

廃車買取業者などは、前述の再利用できる部品を販売する事も前提に査定をします。しかし、売れる部品が残っていない車体となれば、当然買い取り手はつきません。

その結果、スクラップを自前でする費用や廃車(永久抹消登録)手続きを自前で行う手間も発生します。

勿論、それらを差し引いても高く売れる部品があるようなら、それだけ取り外しておくというのは有効と言えますが、手間に見合うだけの利益を得られるかと言えば疑問です。

また、自前での廃車は、廃棄物処理法に抵触する可能性もあり、車両の処分方法や運搬・保管方法を適切に理解していないと5年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。

ネットオークションで車両を個人売買

部品取り以外に高く売れる可能性があるのが、ヤフーオークション等を利用して、個人で車の買い手を探す方法です。

車両の引き渡しには名義変更を始めとする煩雑な手続きが多数あり、走行距離の証明などの告知義務など多くの手間がかかりますが、それらの知識があるという方なら、自分で車を売却することでより多くのお金を手にする事も可能でしょう。

ただし、売却相手が個人であれば、対業者とのやり取り以上のリスクが伴いますし、中古車買取業者で値段が付かないような車であればいつ売れるかも不透明です。そうして売れるのを待っている間に、廃車にすれば本来戻るはずの還付金は減額されていきますし、よほどマニア受けするような車でなければ、廃車寸前の状態の車に買い手がつくとは思えず、あまりオススメできる方法とは言えないでしょう。

買い替えが決まっているならディーラー下取りもアリ

すでに、新車やディーラー直営店での中古車への買い替えが決まっているようなケースでは、ディーラー下取りも手間は少なくすみます。

ある程度価値のある車であれば、新しい車の購入代金の一部に充てられますし、自前で廃車手続きをするよりは、費用面でも手間の面でも遥かにお得です。下取りから納車まで期間が空いたり、どうしても車が無いと不便だったりする場合、代車を貸してもらうこともできます。

ただし、ディーラー下取りは、中古車買取に比べてどうしても査定額は落ちます。廃車寸前の車であれば、そもそも下取りを拒否されたり、逆に処分費用がかかるケースもあるので、あくまでもある程度値段がつく車でないと下取りはオススメできません。そして、そのような車であれば、カーオークションサイトを利用した方がよほど高値が付く可能性があります。

まとめ 廃車は買取できない場合の最後の選択肢

愛車をお得に廃車したい場合、以下のような手順で進めるのがオススメです。

  • カーオークションサイトへの出品を検討する
  • カーオークションでも買い手が見つからなければリスクに注意して廃車買取業者での廃車を検討する
  • 1円でも高く売る為に手間を惜しまない方は自前での部品取りや廃車手続きをする

廃車を検討する際、一番のネックになるのが費用面より手間が大きいという点です。

自動車税は廃車手続きの際に一括で出来ますが、重量税・自賠責保険の還付はまた別途手続きが必要です。また、任意保険を一時的に止める手続きもあります。

それらの手続きをまとめて一か所で済ませられるカーオークションサイトや中古車買取、廃車買取は廃車の大きな手助けとなりますので、車の処分を検討している場合には是非とも活用して下さい。

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